「瀬川。」 クラスの子に呼ばれて慌てて振り返った。 同じクラスになったこともないのにどうして名前知ってんだろう? そんな疑問が頭を霞めたけど、特に深く考えることもなく席を立った。 「何?」 「呼ばれてるよ。」 「あ、ありがとう。」 名前も知らない男子にお礼を言って、あたしはドアの方へ足を向け―… 「えっ」 また、固まった。