「そっか…、先生にはそんな立派な彼女がいたんだ…」
私は急いでドアを開けると、おねーちゃんが何か叫んでるのも聞かずに生徒玄関へと走った。
しゅーた先生との共通点を知ってから、なんとなく“運命”って言葉を感じていた私だけど、
ホントはそんなロマンチックな言葉、この世に存在しなかったんだね…。
そう思うと、もう何でもよくなって、
英語劇だってどうでもよくなって、
しゅーた先生が本番前に「Do your best!」って肩を叩いてくれたけど、
嬉しくもなんともなくて、
その手を振り去るようにして、私は小体育館のステージに立った。
トラップ伯爵の子どもとしてじゃなく、
生命のない抜け殻みたいに、
ただ舞台に突っ立っていた。

