お姉ちゃんは首をかしげた。
「あんたさ、なんでさっきから先輩のことばかり訊くわけ?」
「あ…、その…、友達で、しゅーた先生のこといいなって言ってた子がいたからさ…」
恥ずかしくてそんな嘘をついてしまう。
「あー、そうなんだ」
お姉ちゃんはまた前を向いて言った。
「安心しな。先輩の彼女はあんたの知らない人だよ」
「え…?」
「やっぱり同じサークルの先輩でさ…、確か、高校の先生をしてたと思うけど…」
「えっ…」
おねーちゃんがくれた情報は、簡単に私の心を砕いた。
先生の彼女、高校教師をしてるなんて、きっとすっごく優秀な人なんだろうな。
たぶん、私なんかじゃかなわないくらい。
ため息が出ると同時に涙も出そうになった。

