「で、お前んちどこ?」って訊いてきた先生の質問を遮って、
「先生…、これって“ラズベリー・サンデー”だよね…?」
思わずCDの演奏者について確認すると、
「何…、お前このバンド知ってんの?」
しゅーた先生は前を向いたまま、逆に私に問いかけてきた。
「知ってるも何も、私、ラズの大ファンだし…!」
一気にハイテンションになる私に、先生はへーとだけ言った。
「この曲って、確かアニメの主題歌に使われてたよね…?」
「あー、俺アニメは見ないからわかんないや」
先生は首を横に傾ける。
なんともそっけない答えだけど、どうして先生はラズのCDなんか持ってるんだろう。
「もしかして、先生もラズ好きなの?」
「え…?あ…、んー、そう、だな…」
先生は少し考えるようにして言った。
「まあまあ、かな…?」
「は…?」
あいまいな言葉に「先生はCDとか全部持ってるの?」とたずねると、
今度は「いや…」という返事が返ってきた。
「知り合いがイイって言うからこれだけ貸してもらったんだ」

