「あとは家でよく復習してくるように」
先生はそう言って、窓の戸締りを始めた。
「あ…、ありがとうございました」
自分で言うのも何だけど、私は先生のおかげで、なんとなく感覚をつかめた気がしていた。
「またしおり先輩に怒られないよう、よく練習してきますね」
私も近くの窓を施錠し始めると、窓の外で雨が降っているのが見えた。
「あ…、雨だ…」
そう思った瞬間、雨はザアアと本格的に降り始めた。
「どうしよ…。私、傘持ってきてないや…」
私がつぶやくと、先生は列から飛び出たような机の向きを直しながら言った。
「仕方ないな…。じゃあ、お前んちまで送ってってやるか」
「え…」
「車で送ってってやるから、生徒玄関前で待ってろ」
そう言ってしゅーた先生は先に廊下へ出て行った。

