「そうだ、実結。聞いたか?新学期から、新しい英語の先生が来るんだって。ほら、結婚退職したあのおばちゃん先生のかわりらしいぞ」
生徒会室を出ようとした私に、後ろからかめちゃんがそんなことを言った。
「へー、くわしいじゃん」
「若い男らしいぞ。今日学校に来てるらしくてさ、さっきクラスの女子が騒いでたんだ。意外とイケメンだって」
「そうなんだ」
適当に聞き流して廊下を歩き出すと、
後ろから走ってきたかめちゃんが私のとなりに並んで、私の顔を覗き込みながら言った。
「イケメンに心揺らぐなんてことないだろーな…?職場結婚なんて、絶対にダメだぞ…?!」
「何、言ってんの。結婚とかそんなの、まだ早いって…!」
私は笑ってみせた。
「えー?俺が卒業したら、俺と結婚してくれんじゃねーの?」
「しないって…!するわけないでしょーが…!!」
わざと意地悪を言って前を向き直ると、こちらに向かって歩いてくる人影が見えた。
「あー、あいつじゃねー?」
「え…?」

