「大チャン、気持ちも伝えずに失恋なんて言っちゃダメだよ。大チャンなんにもしてないじゃん。」



…確かにな。



俺、みーちゃんに好きとも何とも言ってないし、好きだってアピールもしてね…



でもさ…いつだって、みーちゃんと俺の間には、あの婚約者の最低野郎がいたんだよ。



みーちゃんは吹っ切れたって言って、笑ってるけど…俺には気づいてた。



みーちゃんが時々、悲しそうに左手の薬指を…見つめてんの。



かつて、愛を誓ったリングがはまっていた薬指を…。



「もうちょっと、考えてみたら?」


「…」


「大チャンの気持ちが、どれくらいのものなのか…。それに気づいたら、大チャンは前に進めると思うよ。」



何でいつもこうなんかな…。。


瞳の言ってることって、本当のことなんだよな…。



「…ふん。ばぁーか、瞳のくせして偉そうに。」



だけど、素直じゃない俺はいつもこうやってひねくれてしまう。



「…照れちゃって。よいしょ、じゃ私帰るね?お休み~♪」



照れ隠ししてんのが分かってる瞳。


だけど、そんな瞳だから…俺は異性として好きにならない。


ずっと幼なじみでいたいと思う。



「おやすみ。あ、冷蔵庫のレアチーズケーキ…やる。賞味期限切れてるから。」


「…ありがと♪」



賞味期限じゃないよな、ケーキって。


ま、消費期限も明日までだけど。