『角 大輝。』


「はい!」



担任に名前を呼ばれ、今までで一番元気に返事をしたと思う。



長い長い校長の祝辞、お偉いのおっちゃん達の紹介…



全てが今この時しか味わえないんだと思うと、退屈でめんどいと思わないってすげぇな。



いつもこの体育館で全校集会をした。


毎回校長の話なんかそっちのけで、瞳と話し込んでたなぁ。



そういや、初めてテルさんを見たのもこの体育館だ。


あん時は、女バージョンだったテルさん。


本気で惚れかけた…。


ま、その分テルさんが男だって知った時のショックは相当のもんだった。



今になると、それも笑い話だな。



そんな昔を思い出しながら、在校生からの祝辞を聞いていた。



ふと、視線を教職員の席に移すと柄になく涙ぐんだ沢っちが座っていた。



沢っちは1年の時に担任だった、それからもまぁ色々と関わってたんだけど。



俺のみーちゃんへの気持ちに気づいた沢っちは、味方でいてくれた。


あの写メ事件の後、いろんな噂が流れる中沢っちはうまく生徒達にウソの情報を流してくれたらしい。



…感謝してるぜ、沢っち。



そんないろんな感情、思い出がつまったこの学校を俺は今日卒業するんだ。



あ、やべ…泣きそう。