――――チーン…



エレベーターの到着を知らせるベルで、瞑っていた目を開ける。


気がつけば、最上階だった。


ふぅ…
一息ついてエレベーターを降りる。



「スイートルーム?」



何考えてんだよ、須藤のやつ。


お詫びに
スイートルームでくつろげってか?


それとも美人で金持ちの女を紹介でもしてくれんのかよ。


どんなに贅沢で、優越感を味わえたとしても…俺はきっと癒されない。



俺が癒やされるとしたら…


きっと…


あのはにかんだ笑顔かもな。



なんてことを考えながら、
【505】号室を目指す。


と言っても、この階に部屋はひとつしかないらしい。



20mくらいある赤い絨毯の廊下を歩き、行き止まりのドアの前で立ち止まる。



【505】と書かれた金のプレートを確認すると、ポケットから須藤から渡された鍵を取り出し鍵穴に差し込んだ。



カチャンと音がし、ドアに手をかける。



期待なんかしてないはずなのに、
ちょっと胸がドキドキする。


自分で無意識に息をのむのが分かった。



さて、このドアの向こうに何が待つか…


豪華なもてなしか、
はたまた、金持ちの美人か。



俺は重いドアを開けた。