「美波を今呼んでくるよ。」
俺が何も言わないうちに、須藤は家の中へと入っていった。
そして、数分と経たないうちにみーちゃんが出てきて、こっちに向かって小走りでやってきた。
「角くん、わざわざ…心配してきてくれたの?…ありがとう。」
そう言ったみーちゃんは、赤くなった目で微笑んだ。
結構…泣いたんだな。
俺…遅かった?
「みーちゃん、大丈夫?」
いまだに涙の痕がかすかに残った頬を撫でた。
「大丈夫よ、覚悟…できてたから。それにお母さん…いい顔してた。」
「そっか…。」
「うん…。」
大丈夫じゃないだろ。
全然平気じゃないだろ。
なんで、なんでそんな強がんだよ。
俺に泣きつけよ…みーちゃん。
…なんて
そんなこと言えない意気地のない俺。
「無理すんなよ、ひとりで。…須藤もいるんだろ?助けてもらえよ…?」
「…うん。」
「じゃあ…俺帰るわ。なんかあったら、いつでも連絡して?」
「…ん、ありがとう。」
無理に笑ってるのが分かってんのに、なんで抱きしめてやらないんだよ俺。
何しにきたんだよ…ばか。
それから、またあの急な坂道を下っていった。



