「待てよ!」



店を飛び出すと、路肩に止まった高級車に乗り込もうとしているみーちゃんを呼び止めた。


驚いて顔を上げたみーちゃん。


気のせいかな…ちょっと、ホッとした顔した?



「まだ何か用かな?」



運転席のドアに手をかけた須藤が、めんどくさそうに俺をみる。



俺は気にせず、歩み寄る。



「みーちゃん、学校始まったら…
話あるから。」


「・・・・うん。わかった。」



小さく微笑んだみーちゃん。

俺も思わず、表情が緩む。



「…じゃあ。」


「…ん。みなさんに、今日はありがとうございますって伝えて?」



俺が頷くと、みーちゃんは優しく笑って…車に乗り込んだ。


そして、須藤を見やる。



「フゥ…君も厄介だね。」


「あんたもな。」



おもしろくなさそうに頭を振る須藤。


フッ・・・あんたとは、まだまだ戦わなきゃなんねーみたいだわ。



「俺、まぢだから。」


「ほう。」


「みーちゃんは俺がもらう。」


「せいぜい頑張りたまえ。」


「あんたもな。」



何か胸くそ悪くなってきた…


あーも、帰ろ。


そう思って、最後に助手席に座るみーちゃんをチラッと見る・・・



「・・・好きだ、みーちゃん。」



独り言のように、素直に思った気持ちが口からこぼれ落ちた。


聞こえるはずない、


でも一瞬、フロントガラス越しにみーちゃんと目が合った気がした。