あたしの真下には綺麗な顔をした男子…いや王子さまが顔を歪ませていた。

お…王子さま…だ。


「いって……」

「ご、ごめんなさいっ!」

急いで飛び起きて、辺りを見渡すと資料が散乱していた。
どうやらあたしは階段から落ちたらしい。


「君こそ大丈夫?」

「…ッ!!」

なんて素敵な微笑みなの!?
痛みを抑えながらもあたしを気遣ってくれるなんて……。

あたしは真っ赤になりながらコクンコクンと頷いた。

王子さまは立ち上がると「そう、良かった」とまたニッコリ笑ってくれた。

きゅーんんん!!!
かっこいいー!!

「あっあの…おうじ……いや、あなたこそ大丈夫ですか?」

「俺は大丈夫。突然君が落ちて来たからびっくりしたけど。まだ三段から落ちたから良かった」

きゅん!
はい、今あたしきゅん死しました!

きゅん死しているあたしを見て王子さまが首を傾げる。

あああ!そんな姿…っ可愛いすぎますから!

正気を戻したあたしはすぐに王子さまに頭を下げて資料を拾いだした。

「俺も手伝うよ」

「あ…っありがとう…ございます…」

王子さま……。こんな平民にもお優しいんですね……。

王子さまの手伝いもあってすぐに資料を拾い終わった。


「じゃあ、これからは気をつけて」

殺人スマイルを残して、去ろうとする背中に慌てて声をかけた。

「あっあの!」

「?」

振り向いて不思議そうな顔をする王子さま。

「ありがとう…ござい…ました」

恥ずかしかったけど、王子さまみたいな微笑みは出来なかったけど笑ってそう言った。

王子さまはしばらく黙った後、コクンとだけ頷いてその場を後にした。


ーーそう、出会いは突然訪れるもの。

そして…それは…………必然的に訪れたもの。