あたしの家に着き、あたしは春先輩と繋いだ手を名残惜しそうに離した。

「送ってくれてありがとうございました」

「ん。てか敬語止めよ?」

「でも…先輩だし」

「先輩だけど彼氏だろ?」

春先輩の言葉に笑いながら頷く。

「じゃあ、敬語はやめるね?ばいばい、春先ー」


ちゅ


ほっぺに柔らかな唇の感触。


それが春先輩の唇だと分かるのに数秒を要した。

「~~っ春先輩…!」

「くくっ楽しかった。じゃあな、結衣」


「もう…」

ほっぺにキスされた余韻が消えなくて、あたしはしばらくその場に立ちすくんでいた。