「篠原春。高校3年生。もう引退したけどバスケ部だった。好きな食べ物はラムネ。嫌いな食べ物はナス。あとはー…」

「あとは?」

「本当は結衣の事前から知ってた」

え?

「どーいう事?でも前知らないって……」


「恥ずかしかったんだ。だって柚紀ぜってぇ、バカにするし。だから嘘ついた」

ちょっと頬を赤らめる春せんぱいにこっちまで赤くなりそうだ。

平静を装ってあたしはパフェを口に運ぶ。

「初めて結衣を見たのは確か1ヵ月前だ。結衣は桜の木の下で桜の花びらを集めていた。
何故か結衣から目が離せなくなって、それから結衣を探すのが癖になった。
この感情がなんなのかまだ分からなかった。
本当は今日も、何か重い荷物を運ぶ結衣を見かけて持ってやりたくて後を追ったんだ。それで結衣が階段から足を踏み間違えて…慌てて、助けようとして…」

うそ…。
そうだったんだ…。

「知らなかった…。でもなんであたしなんか…」

そこが一番の疑問だ。

「わかんねぇよ。でも"なんか"なんて言うな…。お前は誰よりも可愛いよ」

ずきゅーん!

「ば、ばかッ」

そんな訳ないでしょ!
でも嬉しい…。