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…夢を見ていた。

昔、むかしのこと。


自分は悪魔で、歳なんか、時間なんか気にしたこと無かったけど。



辛かったんだ、ほんとは。



誰も来るはずもない洞窟の奥で、
天使と悪魔の怒号と断末魔が響く、戦場の片隅にずっと居た。

暗くて、寒い、洞窟の奥。


雨とか、霧とか、そんなんばっかで。
外の景色が見えなくて。


不安だった。不安で不安でたまらなかった。



心なんて、無いのかもしれなかったけど、胸が痛かった。
痛くて痛くてたまらなかった。

大声で叫んだりもした。

だけど、誰も来る訳でもなくて。


誰も自分なんか必要としていないんだ、って。



気付いてたんだ。

ずっとずっと前から。



ずっとずっと一人だったんだ。


自分は自分だ、って言わないと、自分が消えてしまう。

そんな恐怖に怯えていた。



ほんとは怖かっただけなんだ。


……――
…――――