「痛ってーな! 離せよ、バカ」
肌の色の黒い男が、屈強そうな男達に脇を抱えられながら、連れ出されて来る。
そして、白い純白の服を着た男達は、暴れる男を部屋の中央に向かって投げ出した。
壁の無い部屋。
床には紫色のスモークが漂っており、床があるのかさえもよく判らない。
「来たか、フラム」
煙の奥から落ち着いた声が、暴れる男に呼び掛ける。
「なんだっつーんだ。天下の天界神様と我らの魔王様から、同時の呼び出しなんて、誰だって逃げ出したくなるだろうが。クソッ、早く離しやがれ」
フラムと呼ばれた肌の黒い、黒髪の男は、手首に何重にも巻かれた鎖を外そうとする。
が、勿論外れる訳がない。
「お前に自由などあったのか? 魔王はお主を自由にしたか? ……お前は繋がれていただけだ、天界と魔界の狭間で。永久に」

