菜々は優しい。


僕の両親の死について、

何も聞かない。


聞かないでいてくれている。



菜々が幼馴染であることは、

僕の誇りでもある。



そんな僕の気持ちを全く無視に、

菜々が振り返った。




「早くしないと行っちゃうよお~?」


僕は慌てて走った。

菜々は黙って僕を見ていた。