その視線を一身に浴びながら、僕はレイチェルの用意してくれた原稿を読み上げていた。
神へ就任したことへの喜びや、今後の抱負などが書かれていたが、目から入ってきた文字をただ口にだしていただけの僕は、その中身をまったく覚えていない。覚えているとしたら、当たり障りのない内容だったということと、心臓が飛び出す程暴れまわっていたことくらいだ。
「スピーチお疲れ様でした。とても素晴らしい内容でした」
 就任の儀が終わり、用意された控室に戻るとレイチェルが話かけてきた。
「それはお世辞?嫌味にしか聞こえないんだけど」
「どちらでもありません、正直な感想を述べたまでです」
「じゃお世辞だね。あんな噛み噛みの、棒読み早口が素晴らしい訳ないじゃないか。神は全知全能っていうのは真実?あれくらいで緊張してるようじゃ、神失格だろ」