その日、僕は神になった

その腕時計は長年愛用していた品のように、僕の手首に見事にフィットしている。そして十二進法の基板の上を、三つの針が正確に時を刻んでいる。どうやらこの世界にも時間という概念はあるらしい。
 僕はその腕時計を撫でながら考えた。これが本当に現実だとして、誰が何のために僕の記憶を封印したのか。僕がこの世界での最高権力者、神なのだとしたら、その神の力をも上回る存在とは何なのか。