その日、僕は神になった

 カムイは下唇を噛み締め、俯いている。膝の上で組まれた両拳が細かく震えている。彼の計画は失敗に終わった。彼は次期神の座を狙っていた。そしてこの天界にその名を永遠に刻み込もうとしていたのだろう。天界の歴史上、最初で最後のテロ行為を防ぎ、最大のピンチを救った英雄として…。
 彼の計画は順調そのものだっただろう。俺の正体を暴き、天界に起きている事態を公にするという手柄も立てた。次期神の座は彼の手中にあるはずだった。そう思っていたのは彼だけではない、俺も含め、天界の住人全てがそう思っていたはずだ。そしてそのことに反対する者は誰一人いるはずがなかったのだ。
 カムイの今の怒り、悔しさは尋常なものではないだろう。もしレイチェルが神々の指示通りに理想の人間界を作りあげ、二度と神々の鉄鎚が執行されなければ、永遠に彼にその座が巡って来ることはないのだから…。