その日、僕は神になった

「いいお話だ。だが、それがどうしたと言うのですか?こう言っては何ですが、こと人間界に置いては、そんなことは日常茶飯事の出来事です」
 北の神の冷え切った口調。人間一人がどんな人生を送り、どんな死に方をしようとも、彼らにとっては痛くも痒くもないのだ。
 それを責める気はない。俺だってそうだった。遠くのどこにあるかも分からないような国で、内戦や大災害により何千人、何万人という命が犠牲になったと聞いても、大変だな、でも自分には関係ないとしか思わなかった。可哀想とすら…。
 だが今は彼らに対して譲歩する訳にはいかない。俺は彼の死後を語った。玲花や両親の様子、その苦悩と愚かさ、その中で立てた後悔への誓い、流された涙と悲痛の叫びを…。
 俺は一言一言口にする度に感極まってきた。いつの間にか涙を流し、懇願するような形になっていた。情に訴えかけようとした訳ではない、自然とそうなっていたのだ。玲花を、両親を助けたいという思いがそうさせていたのだろう。
 彼らを信じたい、そのためにももう一度だけチャンスが欲しい、俺は何度もそう訴えかけた。もはや形振り構ってなどいられない、俺に出来ることはこれくらいしかないのだ。
 一人でもいい、どうか俺の叫びよ、届いてくれ…。