その日、僕は神になった

「夢だ、夢に決まってる」
 僕はほっぺたの内側を思い切り噛んだ。どうせ夢なのだから痛くない…筈だったのに、口の中に鉄の味が広がり、激痛に顔が歪んだ。
「夢ではありません。念じて下さい。その頬の傷が癒えるように」
 僕は半信半疑のまま、心の中で強く念じた。この痛みから解放されるよう。バカバカしいと分かっていても、早くこの激痛から救われたかった。たちまち口の中から血の味が消え、傷は癒えていった。