その日、僕は神になった

「君は一体誰?」
 僕は自分の正体よりも、この不思議な女に興味を持った。
「申し遅れました。私は代々東地区神の秘書をしております、レイチェルと申します」
 立ち上がり腰を四十五度に曲げ、再び顔を上げた。僕は初めて彼女の顔をマジマジと見ることになった。奥二重の瞳に先の少し潰れた鼻、肩より長く、少しウェーブがかかった髪は、朝日のように黄金に輝いている。きっと街で見かけたら可愛いな、と思うような子だ。だが彼女には悪いが、議場で隣に座っていた男の方が綺麗な顔立ちをしていた。そして壁にかかった五人のホストの写真の方が。