その日、僕は神になった

 一時の気の迷いで、神なんてありもしない存在に目を向けてしまっただけだ。何の明るい兆しのない、真っ暗な将来という漠然とした不安から、一時でも目を逸らそうとしたに過ぎないのだ。だがいくら目を背けようと、それは着実に近づいている。こうしている今も尚だ。今の希望はそうだな、時間を止めてくれ。そして二度と動き出さないでくれ。たった俺一人のために、この世界がその歩みを止める訳がない、どうしてもそれを望むのならば、自らの時間を自ら止めればいいだけだ。そう、すなわち死だ。俺みたいな人間が一人死んだって、誰も悲しみはしない。逆に進路や下宿にかかる金が浮いて、両親は内心喜ぶだろう。葬式の費用をかけさせるのも何だ、遺書に葬式は必要ない、やっても最低限の費用で済ませてもらうように書いておくか。
 そんなことを考えても、死ぬ勇気なんてないのだが。