その日、僕は神になった

 僕は彼女の説明を右から左に受け流していた。その昔、この世界にも愛といった感情が存在していたのならば、誰がレイチェルの心を掻き乱し、その二つの瞳から冷静さを奪い去ったのだろう?そして彼女は、そいつのことを今はどう思っているのだろうか?
 天界には愛などの感情は存在しないと言うが、その思いはそんなにもあっさりと消えてしまう程のものだったのか?それとも彼女の言うように、愛などとは種の保存のためだけに存在する、幻想でしかないのか…。
 そんなことを考えても、半人前の神でしかない僕にその答えが分かるはずもなかった。どうでもよかったと言ってもいい、彼女が誰を思い、そして僕自身は誰を思い、この胸を痛めたのか、それだけがはっきりすれば。