その日、僕は神になった

 カムイの登場は、波乱と共に新たな感情を僕の中に芽生えさせようとしていたのかもしれない。新たな謎と共に。
「神になられる前のあなたはローリングストーン派だった」
 彼の言葉が蘇る。果たして記憶を失ったからといって、好みまで変わってしまうものなのだろうか?僕は部屋の中に静かに流れる、ローリングストーンズの代表曲、「悪魔を憐れむ歌」に耳を澄ました。だがその曲は、なぜか僕の心までは染み込んで来なかった。体は確かに懐かしい記憶のようなものに反応し、自然と左足でリズムを刻んではいたが、それ以上僕の中に入ってこようとはしなかった。
 僕はやはりミック・ジャガーの歌声ではなく、ジョンとポールの歌声の方がしっくりとくる。そして二人の紡ぎ出すメロディーの方が。