その日、僕は神になった

 僕は自室の椅子に座りこんだ。体のラインに合わせて凹むクッションが「おかえり」そう言っているようで、僕はやっと緊張の糸を緩めることができた。
 たった二時間がそこらの会議だったが、酷く疲弊していた。僕は壁一杯に人間界の映像を映し出した。そう、楓真の様子を窺うためだ。自分よりも不幸で哀れな立場の存在を眺めて優越感を覚える、そして僕はまだマシな方なのだと自分自身を慰めるために。褒められた神じゃない?そんなこと分かってるさ。  
 日に日に人間のエゴというものを僕は分かり始めていた。それは何故だろう?きっと僕も、記憶がないという完璧な存在ではないからだろう。