その日、僕は神になった

 レイチェルに勧められた「コインロッカーベイビーズ」は小説の枠を超えた一つの完成した芸術だった。コインロッカーを胎内としてこの世に生を受けたキクとハシの数奇な運命。そこには様々な人間の欲が描かれていた。食欲・性欲・愛欲・出世欲、誰もが日常の中で剥き出しにしている欲。だがそれだけが描かれた作品ならば、僕はこの作品にここまでの芸術を感じなかっただろう。
 この作品には、普段人々が目を逸らしがちな欲が描かれていた。破壊欲という欲望が。