そして、なんでもないような風に、俺の目の前にカップを並べる。
「どうぞ」
って
「ひなた、お前なぁ・・・」
ふ~~っと大きく息をついて気持ちを落ち着かせる。
そういえば、こいつは昔からそうだ。
肝心なことはずーっと心の中にためておくんだよ。
しかも、一人だけでな。
コーヒーを一口すすると、喉を通り抜けていく熱い感触に
ようやく頭の中が整理されていくように感じた。
「ひなた」
「ん?」
「本当のこと、教えてよ」
「・・・・・・」
「今日俺をこの家に上げてくれたのは・・・教えてもいい、そういうことだろ?」
今度はひなたが、コーヒーカップを口につけてから、
「そうだね・・・」
とだけつぶやいた。

