私達は足を止め、そこから、ガレージまで そっと近づく。


そして、ドアの横にある 小さめのガラス窓の下に、身を屈め 忍び込んだ。





「ん……もう! これ、どうなってんのよ?!」


ガレージ内で、カナきり声を上げながら動き回る。

そんな院長の姿がそこにあった。




顔を真っ赤にしている、その形相は鬼のようだ。



ドアに足蹴りを喰らわしては、車内に戻り エンジンがけに奮闘。


やがて、また出て来たかと思うと、髪をかきむしりながら 奇声をあげている。


何度も、足蹴りを繰り返す姿は、普段の赤紅からは想像さえ出来ない程の変貌ぶりだった。




私達は、そんな赤紅の様子を 息を潜め 覗き見ていた。





「なっ! 言った通りだろ」