ハヤトは、再度確認をとるかのように、私に視線を送った。
「ナナ! 覚悟は?」
「うん。出来てる!」
口では そう言えても、体は正直と言うもの。
案の定、足に力が込められずにいた。
やせ我慢と、言われても構わない。
今は、なりふり構っていられない。
立ってやる!!
その一心で、無我夢中で自分の中の敵に戦いを挑んだ。
やがて、勇気を振り絞り ナナは、その場に立ち上がって見せたのだ。
ナナの肩に、後ろから そっと手を乗せるイブキ。
「大丈夫だ! きっと大丈夫だから。
こっちは俺が上手くやっとくから、安心しろ。
だから、気をつけてな!
必ず………帰ってこいよ。」
どれほど心配しているのかが………
肩から伝わる 温もりと、表情だけで 痛いほどに伝わってきた。
「必ず トシを連れて帰ってくるから。」
「ああ。」
心配してくれるイブキに、後ろ髪を引かれる自分がいた。
しかし、私はハヤトと共に その場を後に、走り出した。