最も、予想だにしない 行動だったからだろう。


弱虫で、自分に自信さえ持てずに 立ち止まってばかりの私。

その上、派手よりも むしろ、地味を好むような 私から そんな言葉が出てくるとは思いもしなかったのだろう。



いつもの私なら、間違いなく 逃げ出していただろう。


そうなったとしても、2人は 決して、私を責めたりしないから。



でも………今回は違った。




「……ナナ! ダメだ!」


ナナの 簡単に折れてしまいそうな、弱々しい手を 引き離そうとするハヤト。
イブキも、一緒になって反対した。



「そうだよ。行くな!」





優しい2人の事だ。
そうなる事は、把握していた。




でも…………

私には、そんな気持ちを 振り払う覚悟は出来ていた。


いや、今したと言った方が 正しい。






今 逃げだしたら………

甘えてしまったら………


私は一生 自分を見失ってしまう気がした。



だから、何が何でも 退くわけにはいかなかった。