ガチャ


挨拶を終わらせ、部屋から出て来る ハヤト。


もうスピードで 私とイブキの元へ駆け寄る その表情は、必死そのものだった。



「ナナ! トシの居場所に見当はつくか?」



どうやら、ハヤトは すべてを察しているようだった。


どこにいるかは すぐに見当がついた。


トシは、近くにある公園よりも、少し先にある公園がお気に入りで、いつも そこで友達と遊んでいた。


おそらく、そこであることは 間違いないだろう。


「たぶん……丘の上公園だと思う。」


「そうか……あそこなら……。」



そこは ここから、十分程の所にある。

かなりの広さを誇る 公園だ。



「あそこなら……隠れる場所も多い! しばらくは見つからないかもしれない!」


「ハヤト!ごめんなさい…。
私……どうしたら………。」



「俺に謝って どうすんだよ!
とにかく、俺が急いで迎えに行く!
お前はイブキと、トシのアリバイを作るんだ!」



そう言って立ち上がり、走り出そうとした。



しかし、その腕をイブキは掴み、放そうとはしなかった。




「お前……。分かってるのか?
それが どういう事なのか!」