やるせない 気持ちなのであろうか?
ハヤトの声は ますます暗くなっていった。
「回避は無理でも、時間稼ぎだけなら、出来ると思ったんだろうな……
たとえ少しでも、アイツが逃げ通せる時間を、三人は必死で 稼ごうとしたんだ。」
「…………。」
俺は、声が詰まった。
その緊迫した状況を、想像してしまったからだ。
「アイツが 今、自由でいられるのは、兄貴と仲間が頑張ってくれた証なんだよ…………。」
さっきまでは、心地よかった風も、今は……冷たく感じた。
俺もハヤトも、しばらく 遠くを見つめ、時を過ごした。
「アイツに言われたよ。
頼むから……やめてくれって。」