さっきまでの 鋭さは、まるきり消え失せ、それどころか 何かに怯えるような………そんな 有り得ない姿が、目に飛び込んで来た。



「おっ……おい ?! 何だよ! どうしたんだよ?」



こんな ハヤトを見るのは、一体 いつぶりだろうか?
いや、いつぶりも何も、一度も見たことがない!
これは、相当 変だ。





沈黙は、しばらく続き、ハヤトは ずっと 遠くに視線を送り続けていた。

俺は、しばらく沈黙に付き合うことにした。





やがて、ハヤトは 深いため息を漏らした。

そして、神妙な面もちで、静かに話し始めた。



「………何でもないから。」


「はぁ ?」


「いや…だから、ただ…ぼーっと してただけだから」


「言ってる意味が、わからねんだけど!」


「だから……例の件の事は、まだ何も 判ってないんだよ」



「お前!何 言ってんだよ!
はい、そうですか。なんて言うと思ったか?
お前、変だぞ!」