「あっ! そうよね!」



急いで 書物の隣に飾ってある、目新しい額を 指差した。



「先生 うっかりしてたわ。 実はね
昔は、今 みんなが使ってる言葉は 主流じゃなくてね
当時は、こんな感じで、英語って言うのが 主流だったの
それでね、この英語を みんなが読めるように 訳したのが、隣の これなのよ。」



皆、不思議そうに 次々と、声をあげた。



「先生は? 読めるの?」


「えぇ。 読めるわよ!」

同時に、ドッと 尊敬の言葉が 湧き上がった。


その 驚きの反響に、照れを隠すように 話し出す院長。



「誰でも、興味があれば、学べる事なんだから、みんなもいずれ 読めるようになるわよ。」


「はぁ〜い!」






そう……確か 50年程前の話。

突然、言語改正制度が用いられ、これまで 主流とされていた英語が 突然、外された。

その為に 現代の子供達の多くは、英語を知らないのが実状なのだ。


そうなった原因を、公表される事はなかった。