とっさに出た、ストレートな 言葉。



しかし 共感を得たのか、次々に否定的な言葉が 飛び交い始めた。



「ハイハイ! 静かにして!」



強い口調に 皆、口をつぐんだ。



少し間をおき、静かに話し出した。



「この書物はね。 約百年も前に 書かれたものなの。
だから 古く色あせるのは 仕方ない事なのよ。」



皆、納得したように 頷いている。



それと同時に、手書きで描かれている事に、深い興味を 覚えたようだ。


なぜなら、情報処理は コンピューターで行うのが 当たり前だと思っている 世代だからだ。



食い入るように 見つめている。



何もかもが、コンピューターに 頼る生活。

メモ書きから、スケジュールまで すべてだ。

紙に、手書きで 何かを描くなんて事は、絵画ぐらいのものなのだ。




「先生!」


一人の 生徒が手を挙げた。


「これ、何て 書いてあるんですか?」




その書物に 描かれている文字。

それは、子供達が 今まで見たこともない、初めて触れる 文字だった。