あぁ〜 なんで。
イブキなの…………。
私はそう思った。
今まで、一度も泣き顔を 見せたことがなかったからだ…。
て言うか誰にもだけど。
あぁ… 今はそんな事!どうでもじゃないか。
とにかく、すごく 気まずいのは確か…………。
な…何か………
喋らないと…………。
ナナの心内は、完全にパニックに 陥っていた。
そもそも 好き好んで、ここにいた訳ではない。
涙を抑えきれない程の、理由があっての事だった。
しかし 今は、それさえ忘れてしまう程、動揺していた。
そんなナナを、半端ない心配そうな表情で 見つめるイブキ。
その、余りにも感情的な視線に、何度も 目を合わせては反らすことを、繰り返してしまった。
その姿は 挙動不審以外の何者でもなかった。
でも 誰だって、そんなに真剣に見つめられたら、そうなっちゃうと思う。
