∞ フェン・ジィスター第0章 ∞ 血ぬられた道しるべ


あぁ〜 なんで。
イブキなの…………。



私はそう思った。

今まで、一度も泣き顔を 見せたことがなかったからだ…。


て言うか誰にもだけど。


あぁ… 今はそんな事!どうでもじゃないか。


とにかく、すごく 気まずいのは確か…………。




な…何か………

喋らないと…………。





ナナの心内は、完全にパニックに 陥っていた。




そもそも 好き好んで、ここにいた訳ではない。


涙を抑えきれない程の、理由があっての事だった。




しかし 今は、それさえ忘れてしまう程、動揺していた。





そんなナナを、半端ない心配そうな表情で 見つめるイブキ。




その、余りにも感情的な視線に、何度も 目を合わせては反らすことを、繰り返してしまった。



その姿は 挙動不審以外の何者でもなかった。


でも 誰だって、そんなに真剣に見つめられたら、そうなっちゃうと思う。