∞ フェン・ジィスター第0章 ∞ 血ぬられた道しるべ


そう 私の名は、琴音 ナナ。



イブキと同じ 高等部に通う学院生だ。




迫り来る イブキの、怒りの形相。

私は怯えてしまった。




ど…どうしよう…。

激しく高鳴る…鼓動。


…………。

声が出ない。




しかし、ナナに近づいたイブキは、すぐに その異常さに気づいた。




イブキは グッと近づき、私の顔を覗き込んできた。



フワッと 彼の香りを感じるとると共に、私は彼から 顔を反らせてしまった。


勿論 嫌いだからとか、そう言う事じゃない。


ただ…………


見られたくなかったから…。






「んっ?………お前!! 泣いてんのか?」




私はすぐに、腕で涙を拭った。

そして、何事もなかったかのように 無理に振る舞った。



うっ……。 逃げたい………。



でも、ここに逃げ出す隙なんてあるわけがないじゃない!



なぜなら、彼の大きな体は、ナナをスッポリ覆ってしまっていたからだ。