そう 私の名は、琴音 ナナ。
イブキと同じ 高等部に通う学院生だ。
迫り来る イブキの、怒りの形相。
私は怯えてしまった。
ど…どうしよう…。
激しく高鳴る…鼓動。
…………。
声が出ない。
しかし、ナナに近づいたイブキは、すぐに その異常さに気づいた。
イブキは グッと近づき、私の顔を覗き込んできた。
フワッと 彼の香りを感じるとると共に、私は彼から 顔を反らせてしまった。
勿論 嫌いだからとか、そう言う事じゃない。
ただ…………
見られたくなかったから…。
「んっ?………お前!! 泣いてんのか?」
私はすぐに、腕で涙を拭った。
そして、何事もなかったかのように 無理に振る舞った。
うっ……。 逃げたい………。
でも、ここに逃げ出す隙なんてあるわけがないじゃない!
なぜなら、彼の大きな体は、ナナをスッポリ覆ってしまっていたからだ。
