∞ フェン・ジィスター第0章 ∞ 血ぬられた道しるべ


呆然と それを見つめるナナから 枝を受け取ると、広げたジーンズの中に 枝を差し込んだ。



ハヤトの意図を 理解したナナは、すぐさまトンネル内のトシに呼びかけた。


「トシ、 トシ。
お願い! 返事して!」

そのまま 全神経を耳に集中させた。


しばらくすると、微かにだが 確かにトシの声がした。



ジーパンの裾の部分に ベルトを結び付け、準備を終えた ハヤトが駆けつける。


「どうだ? なんとかなりそうか?」



「かなり弱ってそうだけど、意識は まだあるみたい。」



「トシ いいか。よく聞くんだ。
今から、そっちにお前を引っ張り出すための物を送るから。いいな?」



そう伝えると、自作のロープを トンネル内に送り込んだ。


ただ ひたすら………

枝の長さが、トシのいる場所まで 届く事を 願いながら。


何の手応えもなく、枝は奥へ奥へと吸い込まれて行った。


やがて枝は切れ、ハヤトの腕までも吸い込まれ 始めた。


もはや 届かないかもしれないという不安がよぎる。