「トシ! 大丈夫? ナナだよ。」
すぐにでも、抱きしめてあげたかった。
しかし そのトンネルは細く、トシ自身が自分で出てこないかぎり、それは出来なかった。
ところが、声は聞こえても、なぜか いっこうに出てこない。
ケガでもしているのか?
それとも………出られない状況にいるのか?
言い知れぬ 不安に襲われた。
「おい。どうした?
大丈夫か? 何があったんだ?」
「トシ! 出て来れないの? ねぇ トシ。大丈夫なの?」
何度も 何度も、声をかけ続けた。
その度に、かすかな弱々しい、トシの声が聞こえるだけだった。
トンネル内に、必死で腕を突っ込み 手探りでトシを探す。
しかし、余程 奥にいるのだろうか?
その手に、トシを感じることはなかった。
「ハヤト。どうしよう………。 動けないのかな? 倒れてたりしないよね…」
「分からない。………もしかしたら、意識がもうろうと………
とにかく、ナナは ずっと声をかけ続けてくれ。
今 何か考えるから。」
