∞ フェン・ジィスター第0章 ∞ 血ぬられた道しるべ


「トシ! 大丈夫? ナナだよ。」



すぐにでも、抱きしめてあげたかった。


しかし そのトンネルは細く、トシ自身が自分で出てこないかぎり、それは出来なかった。


ところが、声は聞こえても、なぜか いっこうに出てこない。




ケガでもしているのか?

それとも………出られない状況にいるのか?

言い知れぬ 不安に襲われた。



「おい。どうした?
大丈夫か? 何があったんだ?」



「トシ! 出て来れないの? ねぇ トシ。大丈夫なの?」



何度も 何度も、声をかけ続けた。


その度に、かすかな弱々しい、トシの声が聞こえるだけだった。




トンネル内に、必死で腕を突っ込み 手探りでトシを探す。



しかし、余程 奥にいるのだろうか?



その手に、トシを感じることはなかった。



「ハヤト。どうしよう………。 動けないのかな? 倒れてたりしないよね…」



「分からない。………もしかしたら、意識がもうろうと………
とにかく、ナナは ずっと声をかけ続けてくれ。
今 何か考えるから。」