ところが、それは 認められなかったのだ。
勿論、二次感染の心配をせずに済んだ事、それに対しては 喜ぶべき事態なのだが……。
なぜに 腑に落ちない、そんな気持ちも 捨て切れなかった。
同じく 多くの科学者が、この研究に 一団となって試みたが、結局。
──S205型ウイルスの発祥経緯を、解明する事は 困難とされ………
やがて、一人……また一人と、次々に 研究から離れて行ってしまった。
残酷……極まりない事だが、犠牲になった人々…………
そして 私も含め、辛く悲しい事だが、前世代もしたように、私も 次世代へと伝えるべく
全ての記録を ここ、国立歴史博物館に 刻む事とする。
今後、例のウイルスが再び、猛威をふるわぬことを、心から願うばかりである。
国立歴史博物館
四代目館長 書記