門限を少し、過ぎた頃。
一軒家の玄関ドアが開かれた。
そこから、大事そうに 何かを抱えた、男の子が出てきた。
たった数歩。
玄関から離れただけだった。
その 男の子は、今まさにナナの目の前にいる、この男と数人の手下によって、突然 捕らえられたのだ。
我が子の叫び声に、慌てて玄関を飛び出し、助けようとする両親。
ただそれだけで、外に出たとされ、共犯として捕らわれてしまった。
そして、重罪人として連れて行かれたのだ。
連れ去られた後、その場に落ちていた袋。
その中には、近所に住む友達への、誕生日プレゼントが入っていたらしい。
キレイなラッピングを施された、可愛い柄の紙袋は、無惨に踏みつぶされ、中身は飛び出してしまっていた。
そして、辺りには 男の子の 血が飛び散っていた。
どれ程に恐ろしい事が、起きていたのかを 言わずとそれが、物語っていた。
