「ん! 誰だっ!?」
微かな茂みの音に、強く反応する 後輩の方の男。
立ち上がり 私達が隠れている茂みを睨みつけた。
私とハヤトは、必死で体を丸め、息を止めて凌いだ。
寒ささえ感じる程の 緊迫感に、生きた心地は 当然ない。
「まあまあ。そんな力むなよ!
犬猫か鳥だろうよ!」
「そうっすか?」
「先月、捕まったばかりだぞ! どこの家も、神経ピリピリで 門限破るわけねぇよ。」
「ま〜確かに、そうっすよね。
私の家も、子供が出ないように、玄関は鍵だらけっすよ」
「まあ。あの話 聞いたら、どんな親でも そうなるわな!」
談笑する男達。
私も……その話は事件後、すぐに知らされた。
とても笑えるような話ではない。
誰から どんな情報を仕入れたのかは、皆無見当がつかないが、この男は 先月、国が定める重罪人を捕らえた。
残酷 極まりない話だ。