∞ フェン・ジィスター第0章 ∞ 血ぬられた道しるべ


「そっすよね。さすが先輩っね!」


「あたぼーよ。」




どうやら、この二人は先輩と後輩の仲のようだ。

やがて、後輩の方もベンチに腰掛け、雑談を始めた。





この状況に、ハヤトもナナも 苛立ちを感じ始めた。



しかし、この警備兵が動くまで 何をどうすることも出来なかったのだ。


虚しくも 時は容赦なく刻み続けた。





「そう言や先輩! 昇級 おめでとうございます。」


「おう!」


「それっすか?」


横に置かれた物を指差した。


先輩は、それを手に取ると 自慢気の表情を浮かべた。



男が手にした それは、刀だった。

立派な彫刻が施され、妖しげに光る黒い莢に、それは収まっていた。



警備兵には、階級制度が用いられている。


階級は、勤めた年数と 個人の実力や訓練成績に応じて、昇級する。


階級に応じて、持てる武器も変わり この男は、先月 門限を破った者を確保した為、昇級褒美として刀の支給と所持を許された一人だった。



「先輩、よく あいつ等より早く捕まえられましたね」