「そっすよね。さすが先輩っね!」
「あたぼーよ。」
どうやら、この二人は先輩と後輩の仲のようだ。
やがて、後輩の方もベンチに腰掛け、雑談を始めた。
この状況に、ハヤトもナナも 苛立ちを感じ始めた。
しかし、この警備兵が動くまで 何をどうすることも出来なかったのだ。
虚しくも 時は容赦なく刻み続けた。
「そう言や先輩! 昇級 おめでとうございます。」
「おう!」
「それっすか?」
横に置かれた物を指差した。
先輩は、それを手に取ると 自慢気の表情を浮かべた。
男が手にした それは、刀だった。
立派な彫刻が施され、妖しげに光る黒い莢に、それは収まっていた。
警備兵には、階級制度が用いられている。
階級は、勤めた年数と 個人の実力や訓練成績に応じて、昇級する。
階級に応じて、持てる武器も変わり この男は、先月 門限を破った者を確保した為、昇級褒美として刀の支給と所持を許された一人だった。
「先輩、よく あいつ等より早く捕まえられましたね」
