「なんか凄いことになってんね。 でも本当に、まだいたんだね」
院長にばれぬように、小声での会話が続く。
すると、ハヤトは ニャッと 何とも言えぬ表情を浮かべた。
「実は俺さ、最近 赤紅の車! 勝手に使いまくっててさ、
まぁ アレだな。古い車が、ますます古くなっちまったって訳よ。」
「えっ?! じゃあ動かないってこと?
でも……動かないのはマズくない?」
「ああ それは大丈夫。時間はかかるけど、エンジン動くから 大丈夫だ」
その直後の事だった。
けたたましいエンジン音が、辺りに響き渡った。
ブォーン ブォブォ
バフッバフッ プスプス
ドッドッドッ───
何とも、無理矢理げな エンジン音。
異常な爆音と共に、サビだらけの年代物の乗用車は、院長を乗せ ガレージを勢いよく出て行った。
車が門を出て行くのを しっかり見届ける二人。
言葉なくても、心は しっかり通じ合っているようだ。
それは、合図することなく、息のピッタリ合った連携と、強い眼差しから伝わる。
互いに手を取り合い、臆することなく、二人は門を飛び出した。
トシを迎える為に、夜の怪しい世界へと、遂に足を踏み入れた 瞬間だった。
