ウソ★スキ

「ソラ……」

あたしは震える両手を伸ばすと、そっとソラの頬に触れた。

その指先に、ソラの温かい涙が伝う。


なんて綺麗な瞳。

なんて綺麗な涙……。


その涙を見て、あたしは確信した。


間違いない。

ソラの中には、今でもキラがいるんだ。

そしてあたしだって──。


「もういいよ、ソラ」


それは、あたしのなかに新しい感情が芽生えた瞬間だった。


泣いているソラを、
そんな自分に戸惑っているソラを、

愛おしくてしかたないって思った。


あたしが、ソラのことを守ってあげたいって思った。



そう思うと、急に、肩肘張っていた力がストンと抜け落ちて。



……そうだよ。

あんな辛い思い出を、2人揃って覚えておく必要なんて無いんだから。



「ソラ、あのね、もし昔のことを知りたくなったら、あたしに聞いて? あたしが、ソラの分も忘れずに全部覚えておくから」



辛くなったら、2人で一緒に泣けばいい。

そしたらきっと、その辛さは半分になるから。


だから……。



「あのね、あたしも、ソラといるのが一番幸せなんだ。……だから、これからもソラの側にいさせて?」