ウソ★スキ

そういってソラがぎゅってあたしを抱く腕に力を加えるから、あたしは顔をソラの胸に埋める恰好になった。


静かにしていると、トクントクンって、ソラの心臓の音が聞こえる。


……ここは、ソラの心に一番近い場所。




「ねえ、ソラ?」

「……ん?」

「あのね、何も答えなくていいの、聞くだけでいいから」


ソラに、どうしても伝えたいことがあった。

心の奥深くにあるソラの大きな傷。


どうかそこに、あたしの言葉が届きますように……

そしてソラの傷が少しでも癒えますように……



「安心して。キラは夜、1人で眠れてるよ。……もう、どこにも、鬼はいないの」



……だけど、ソラの反応はなかった。

何も返事がないどころか、ソラは微動だにしなくて。



でも、仕方ない。

あたしは、それでも、どうしてもこのことをソラに伝えたかったんだから。



だけど。


「ごめんね、ソラ。今のは気にしなくていいから──」



ソラを見上げると、




「…………え?」




どこか遠くを見つめたまま、ソラは泣いていた。


ううん。

それは泣いていたと言うよりも、ただ、目から涙が零れ落ちていたという表現がピッタリくる。



「……ソラ?」 

あたしが何度か呼びかけたあとで、ソラはようやく我に返って。


「あれ……俺、何で泣いてるんだろう」


次々と頬を伝うその涙に、ソラ自身が一番驚いていた。