顔が半分見えるくらいドアを開けると、その先にはソラが立っていた。


「……どうして?」

ソラの顔を見た途端にまた泣きそうになって、あたしはそれをぐっと我慢しないといけない。

「……どうして、ソラがここにいるの」

「どうしてって……、『探せ』って言ったのは美夕だろ?」

「……だって、まさかこのアパートを見つけ出せるとは思わなかったし……それもこんなに早く……。あたし、電話でも言ったけど、今さっき引っ越してきたばかりなんだよ? 部屋だってまだ片付いていないのに」

「そんなの知ってるよ。玄関でもどこでもいいから……とりあえず中に入れて」


あたしがドアを開けると、ソラは少しよろけながら中へ入って。

よっぽど疲れたんだろう、両膝に手を突いて、うつむきがちに肩でハアハアって荒い息を繰り返した。

「あー、疲れた」

それを繰り返すソラの髪の毛や鼻先に、みるみる汗の滴が集まっていく。


「何でだろうな。さっき、美夕に電話を切られた途端に店を飛び出して、駅に向かって走ってたんだ」


ソラはそのまま、玄関先に座り込んでしまった。