それから2週間後、あたしは大きな決心をして「twin star」に電話をかけた。
電話に出たのは奥さんで。
やっぱり今日も泣きながら「この前はゴメンね」って謝ってくれる奥さんに、何度も「こちらこそごめんなさい」って告げた後、
あたしは電話をソラに替わってもらった。
ソラは奥さんのそばにいて電話のやりとりを聞いていたんだろう、すぐに電話口に出て。
「美夕!」
威勢良くあたしの名前を呼んだ後は、言葉に詰まってしまった。
きっとソラは困ってるんだろうな……。
その様子をしっかり想像できてしまう自分が可笑しくて、あたしは思わず笑ってしまった。
「ごめんね。あたし、お店にはもういかない。それと……これは最後の電話なんだ」
「それは……この前、俺が怒らせたから?」
「違うよ」
あたしは、段ボールだらけの自分の部屋を見回した。
「あたし、今日これから引っ越しするの。新しいアパートは今よりもっと遠い場所にあるから、もう、お店に遊びに行くってわけにはいかないんだ。……ほら、私、この前大学卒業しちゃったし、いいかげん本気で仕事探さないとね……」
アパートのすぐ下で、引っ越し業者のトラックが止まる音がした。
「ソラ、あたし1人で頑張るね」


